複数のSaaSをまたいだ業務を自動化したいとき、まず候補に挙がるのがZapierとMakeだ。どちらもノーコードでワークフローを構築できるが、設計思想と得意分野には違いがある。AI機能が組み込まれたことで、単純な連携作業を超えた自動化も可能になってきている。
Zapierは「シンプルさ」が武器
Zapierは「トリガーが起きたらアクションを実行する」という直線的な構造がベースになっており、初めてノーコード自動化に触れる人でも直感的に扱える。対応しているアプリ連携の数が非常に多く、主要なSaaSであればたいてい標準連携が用意されている。AI機能では、受信したメールの内容をAIが分類して適切な担当者に自動振り分けするといった、条件判断を伴う自動化も組みやすくなっている。
Makeは「複雑なフロー」に強い
Makeはビジュアルエディタ上でワークフローを図として組み立てる設計になっており、分岐やループ、複数の経路を持つ複雑な処理を視覚的に把握しながら構築できる。データの加工処理(JSONの変換や複雑な条件分岐)を細かく制御したい場合は、Zapierよりも柔軟に対応できることが多い。学習コストはZapierよりやや高いが、慣れれば高度な自動化を安価に実現できる。
料金体系の違い
Zapierは実行された「タスク数」に応じた課金体系が基本で、単純な連携を大量に実行する場合はコストがかさみやすい。Makeは処理の「オペレーション数」に基づく課金で、複雑なフローでも比較的コストを抑えやすい設計になっている。月間の実行回数が多い業務では、Makeの方がコストパフォーマンスに優れるケースが多い。
選び方の指針
初めて業務自動化に取り組むチームや、シンプルな連携を素早く形にしたい場合はZapierが適している。一方、複数の条件分岐やデータ加工を伴う複雑な業務フローを構築したい、かつコストを抑えたいという場合はMakeが向いている。実際の導入では、まずZapierで小さく試して自動化の効果を実感したうえで、複雑なフローが必要になった段階でMakeへの移行を検討するという進め方も現実的だ。
自動化の対象を選ぶ際の視点
どちらのツールを選ぶ場合でも、最初に自動化すべきなのは「頻度が高く、かつ手順が明確に決まっている作業」だ。判断に迷う要素が多い業務をいきなり自動化しようとすると設計が複雑になりすぎるため、まずは定型的な通知や転記作業から着手し、成功体験を積み重ねながら対象範囲を広げていくのが失敗の少ない進め方になる。